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10.04.03 花見ごろの長~い一日

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 長い土曜日の幕開けは爽快なセイリングで始まった。昼前にS飼船長と出船するとちょうど良い東の風。先週同様気温は微妙だが徐々に低く垂れ込めていたた雲も青空を覗かせ始めている。八景辺りで昼凪となって、どうしようかと思っていたらT田船長から電話が入る。我われの出船を見てすぐに追ったのだというが、我われがマリーナの外で律儀にセイルアップしている横をさっさとジブだけ開いて追い抜いていったそうだ!もうじき観音崎にさしかかるという。いやまったく驚いた。T田船長は臨機応変。要領、手際のいい船長さんで、船の取り回し、メンテから料理に至るまで随所にこういう既成概念に囚われない軽快感があふれている。距離も開いているのか彼の船は目を凝らしても確認できなかったが、馬堀海岸先?辺りに見覚えのある美しい桜並木が見えてきた。そこは、まだ私がヨットに乗り換えたばかりの頃、やはりあの桜並木を海上から楽しんだところだ。懐かしい記憶に舳先を観音崎灯台から桜のほうに向けてもっとよく見える距離まで近づこうと試みる。あの時もそうだったが、この桜に見入っている時、急に西風に噴出されて大いに慌てたことがあった。花見のためにほとんど足を止めていたため突然の西風の強襲に船を立てようにも到底1GMの力の及ぶところではなかったのだ。今回も凪からそろそろ小一時間、風が変わるのかと思っていると一気に袋の口でも開いたかのような南西風がちょうど桜のほうから噴出してきた。セイルがいっぺんに右舷から左舷側に押し込まれ船が音を立てて大きく反対側に揺れる。今日はそうはいかないぞ!と思いながら進路を保持してジブを張り直し、再び観音崎方向に上ってゆく。タックを数回繰り返して更に桜に近づこうと思うが、左舷側は頻繁にタグボートや大型モーターボートが通るし、右舷側には遊漁船がうろるろして煩わしい。少々面倒になってそのまましばらくセイリングを楽しむことにする。
S飼船長からはすでに猿島手前でUターンしたと無線が入った。どうやら彼はまだ凪の中にいたらしい。T田船長にもその旨伝え、帰港のタイミングを計ることにする。
 私とS飼船長はいつも144MHzの無線でやり取りするがT田船長の積んでいるのは430MHz。幸い私のハンディーは両方をカバーしているので両者と通信はできるがいちいち周波数を切り替えるのも面倒だ。そこで固定機はS飼船長用に、ハンディをT田船長に合わせる。ところがそのT田船長の無線がダウンしてしまっているようなのだ。ケイタイをつなげたまま双方で呼び出すが雑音しか聞こえない。そっちにはうちのが入ってるの?とケイタイで聞くと、うん、入ってる。ザーザー言ってるから・・・・(笑)そりゃ入ってるって言わないぜ!
ケイタイも便利になったがまだまだ海でも山でも無線の敵ではないと思う。第一ケイタイは出なければ始まらないが、無線は手が離せないような場合でも相手の言っていることは聞いていられる。応答は手が空いてからでもできる。だが、その便利な無線がダウンしているのでは仕方ない。再度S飼船長と連絡を取って後から追うと伝える。マリーナ手前でセイルの始末をしていると近くにT田艇が追いついてきてくるくると回っている。ジャイブの練習かと思ったら、オーパイなしでセイルダウンに苦労していたらしい。本人曰く足でティラー押さえてウィンチ操作するには短すぎたそうだ。無論足が・・・・である。(爆)
 15時頃帰港。隣のT田船長は日帰りだというので片付けが済むと帰って行った。ほどなく宮川のヨット、O田船長から電話が入った。剣崎沖で鳥山を追ってイナダ2本をものにしたところだという。それじゃぁそれ持ってお出でよというと、少し迷ってから、今金田湾だからこれから向かうというではないか!? 待ってるよ~と言いながらも、いや~、大丈夫かなぁ?? 15時半過ぎに金田湾からというと着くころは当然真っ暗。元YBMにいたとはいってもちょっと心配だ。そのうち帰ったはずのT田船長も用事がなくなったのでマリーナに戻ると言ってきた。S飼船長と二人分の食材は用意したが少々心もとないので買い足してきてもらうことにする。19時を回ってO田船長からタコ根通過のメールが入る。(後で確認したらタコ根のブイは撤去されていて八景沖の浮標をタコ根だと思ったらしい。)タコ根ならもう30分くらいかと思っていると今まで緩やかに吹いていた南が急に東の強風に変わり大粒の雨交じりで前線通過のような様相になってしまった。10.04.03 花見ごろの長~い一日_e0183673_17201862.jpg恐らく海上では17、8mは吹いているのではないか!?ここに向かっているならちょうどセイルダウンのタイミングだし大変なのではないか?待つ方にも心配の黒雲が湧き上がってくる。応答出きなくても構わないから電話してみる。やはり出ないか?と呼び出すと、すざましい風雨の音でときどき途切れるものの割りと元気な声が飛び込んできた。急変前のタコ根(実は八景沖)辺りでセイルはすでに下ろして機走しているが、マリーナ入り口が分からないと焦っているようだ。夜半、この突然の暴風雨のなか停泊している本船を避けながらでは目標も何もあったものではないのだろう。
何度か電話でナビしながらようやくマスト灯を確認できたのはもう20時を過ぎようかというころになっていた。もちろんわれわれも風雨の中ポンツーンでワッチしていたのでO田艇が着くころには空腹と暴風雨とで寒さがこたえ始めていた。とにかく無事に到着、良かったよかった!(これでやっと晩飯が食える!)10.04.03 花見ごろの長~い一日_e0183673_17352415.jpg 今夜の宴会場は船の中ガラーンとして広いからと言ってくれたT田船長の船だ。心配と風雨ですっかり腹の減ったのも忘れていたが、焼肉にビールで血の気が戻った。しばらく経ってふと外を覗くとさっきの嵐はすでに収まり雨もポツポツ程度になっている。さっきの嵐は一体何だったのか!まるで狐につつままれたような感じだ。キャビンは宴たけなわで、嵐の夜の訪問者O田船長も元気に自作のドジャーがどれほど今夜役に立ったかを熱く語っている。10.04.03 花見ごろの長~い一日_e0183673_17592412.jpg 22時を過ぎそろそろお開きとなるところだが、O田船長は自分の船に戻ってカラオケの用意しておくから後で来てくれという!?これぞO田船長の真骨頂!!きっと苦労してグレイドアップしたカラオケセットのお披露目も東京湾縦断の動機とエネルギーになったのだろう。こいつを載せて暗闇も嵐さへも突き抜けてやって来たと思うとなんだかその微笑ましさというか、来た道のりと笑顔でマイクを握っている横顔のギャップにひっくり返りそうになってしまう。(笑)
せっかくなのでハイハイとみんなでお付き合いして、さすがに午前様になったころお暇した。 船に戻って横になってから、なんだか今日は楽しかったけどとても長い一日だったなぁと声に出してみる。すると急にいろんなものが緩やかにほどけ始め、溶けてしまうような心地よさに任せて眠りについた。

by 50sankai-club | 2010-04-06 04:52 | 海遊び  

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